先日また日本からの留学生と知り合う機会があった。
（このブログで日本語なんて２週間、３週間喋らない事もある、と書いておきながら最近やたら日本語を喋る機会がありうれしい）
２３歳の男の子、シアトルに来て５年目の留学生。
ワシントン大学に通っているという。
私 ”大学で何を勉強してるの？”
男の子 ”コミュケーションです。”
私 ”なにそれ？なんでコミュケーションを選んだの？”
男の子 ”めっちゃ文系ですよ。読んだり書いたりしてます。とりあえず、就職の時につぶしがきくんで。”
私 ”じゃあ将来何したいの？”
男の子 ”いや、まだ解らないです。”
ここ１ヶ月で出会った日本人留学生で２人目である。
何が勉強したくて将来何になりたいか解らないけどアメリカに留学している学生。
もったいない。。。
時間もお金も。。。
彼が言う ”つぶし” など正直アメリカでは通用しない。
アメリカの就職に新卒枠などはない。
大学は３ヶ月おきに卒業生を吐き出し、みんな社会に旅立っていく。
面接の際にはいままで社会で働いてきた人と同じレベルで、競争するのである。
会社側はほとんど経験がない人間を雇わない。
日本の求人広告で見かける、
”未経験者歓迎”
なんて聞いた事がない。
学生はその為に大学時代から必死にインターンをし、そこで実績と人脈を作るのである。
大学でコミュケーションを選考していました。
と言って、じゃあ採用します。と言ってくる企業なんてまずいないだろう。
じゃあアメリカの学生がちゃんと将来を考えて勉強しているかといえば、そうとも限らない。
先日仕事でとある学校のCMを作る事になった。
CMと言っても２分ほどの学校紹介のビデオである。
その学校はビルゲーツの寄付金で運営しており、学費はすべてただである。
主に力を入れているのは、プログラミング。
世界の出生率や病気などの統計をとり、データ処理をする勉強をしている。
対象者は4年生大学卒業者でこの学校に３年間通うと大学院卒となる。
ダウンタウンのきれいなビルをまるまる一棟、大学キャンパスとして使っている。
全米から優秀な人間を集めたいのでプロモーションビデオを作ってくれという依頼。
私はいつも通り編集をまかされる。
撮影チームから受け取ったビデオは６時間分。
現役学生をインタビューした物であった。
すべてのビデオをオフィスに籠りチェックする私。
さすがに頭のいい大学院生達。
普段の生活の様子や、授業内容、インドに遠征に言った話などすらすらとうちのプロデューサーの質問に答えている。
プログラミングに関しても知識がちゃんと身に付いているのが、話を聞いていて解る。
編集者として、これだけ使えるビデオを手にする事は珍しい為、私は興奮した。
まさにリア充。
モニターの中の若者達がきらきらみえて、まぶしい。
プロデューサー ”じゃあ最後に卒業後のプランを教えてください。”
おお、いいぞ！プロデューサー。
普段はちゃんと仕事しないから大嫌いだけど、ちゃんとインタビューはできてるじゃないか。
とすでに終了している撮影に対して監督気分でコメントする私。
だがモニターの中の学生の顔は急に曇る。
学生 ”まだ、解らない。自分が将来どんな仕事に就きたいかまだ決めてない。”
おいおい。ちょっと待ってくれよ。
編集者として一番欲しいカットが貰えなかった。
私が欲しいのは
”ビルゲーツのおかげで学ぶことができた知識を生かして、これから社会貢献していきたい。”
と言った前向きなコメント。
プロデューサー ”そっか。じゃあこれからゆっくり考えればいいよ。”
と一番大事な部分のコメントを撮ることなくインタビューを終わらせている。
おい！くそプロデューサー！やっぱり, こいつ嫌い。
もっといろいろうまく誘導して使えるコメントを引き出せ。
とモニターを睨みつける私。
驚いたのは学生を１０人ほどインタビューして１０人とも卒業後どうするか解らないと答えていた事である。
きっとこの映像をビルゲーツに見せたら、泣くであろう。。。
日本もアメリカも将来何をしたいか解らない若者を大量に抱えて、この先どうなっていくのであろうか。。。
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