インターンという映画が去年くらいに流行ったが観た事があるだろうか?
今日まさに私にこの映画と似たような事が起きた。
朝出社して、社長に呼び出され10時に社長の友達リックがオフィスに来ると告げられる。
社長 ”忙しいのは解るんだけど、2時間ほど友達のリックに映像編集のやり方教えてあげてくれない?”
私 ”うん。忙しいからやだ。youtube観て勉強すればいいじゃん。”
社長 ”まあまあ、そう言わないでさ。リックが困ってるんだよ。”
私 ”で?何が知りたいの?”
社長 ”アフターエフェクトで人の顔にモザイクを入れる方法を教えてあげて。”
私 ”無理。”
社長 ”もう10時に来る事になってるから。よろしく。”
私 ”。。。。”
リックの事を軽く説明すると、彼はもともとテレビ局でニュース番組を作っていた。
編集もちょっとだけやった事があるがなんせちょっと前まではビデオテープをはさみで切り、テープを張って映像を繋いでいたのである。
デジタルの編集方法なんて最近の技術である。
それからなんでか知らないがテレビ局を辞める事になりここ何年かは警察署で事務の仕事をしている。
だがこの度警察署内の映像課の責任者と仲良くなり、移動の話が持ち上がっているという。
仕事内容はパトカーに取り付けられているカメラで撮られた映像にモザイクを入れる事である。
人の顔や車のライセンスプレートなど。編集したビデオは裁判の証拠資料などに使われるらしい。
リックはテレビ局を去ってからも映像制作への情熱が冷めず、今回巡ってきたチャンスにかけている。
10時ぴったりにリック登場。
彼の姿を見て私はびっくりした。
白髪のおやじ。年齢は56歳。。。
もっと30代くらいの若い人を想像していた私。
言葉を失う。
”じゃ、よろしく。”
と言ってさっさと私の部屋を去る社長。
まじかあ。。。
リックの鞄からはノートブック1台と大量のメモ用紙の山。
なんと既に自分でyoutubeを何回も観て勉強したという。
だが解らない事だらけで今日助けてもらいに来たそうな。
映像編集というのは、普通の人が考えるより遥かに難しい。
写真を編集するフォトショップの難易度を星1つとすると、ビデオの映像を編集するプレミアは星10個。
そしてビジュアルエフェクトを加えるアフターエフェクトは難易度の星1000個ぐらいである。
解りやすく言えば、はさみとテープでしか編集したことのない彼にアフターエフェクトを使いこなせというのは、昔のど自慢に出場した事があるというレベルのおじいちゃんに、紅白でさぶちゃんの代わりに白組のトリをつとめろと言っているようなものである。
だが彼は、引かない。
どうしても映像制作の業界に足を突っ込みたいのである。
私には、エベレストをどうしても上りたいという登山家に危ないから止めておけと言う権利はないのである。
そこまで言うなら、協力するしかない。
とりあえず彼が何を知っていて、何が解らないかも、知らないので家で練習したものを実際にわたしのパソコンでデモンストレーションしてもらう。
私はすぐに気がついた。
これは家で相当練習したに違いない。
私が教えなくても、彼はすでにモザイクをかける方法を知っていた。
だがパソコンに慣れていない為、ちょっとでも違うスクリーンに飛んだり、カーソルが消えるとパニックになっている。
顔を真っ赤にして真剣な目で、ぶつぶつ独り言を言いながらパソコンに向かっている姿をみて、ある人物が頭に浮かんだ。
まだ専門学校に通っていた時代の自分の姿である。
まったくのど素人であった私が、毎晩パソコンに向かい徹夜で宿題をこないしていた、そんな自分と彼の姿が重なったのである。
結局2時間の間に、彼の質問にすべて答え、後は自分で何度も練習してスピードを上げるのみというところまでこぎ着けた。
去り際に彼は何度も握手をしてありがとうと言い、カードと$100分の食事券とワインを置いて去っていた。
正直自分の技術がこれほど誰かに感謝された事がなかったので、私は感動してウルウルしてしまった。
ぜひとも彼には頑張ってもらいたい。
何故、社長が彼を助けようとおもったのかも、よく解った。
にほんブログ村
海外永住 ブログランキングへ